いけぽぐ9th:5位指名【ケンホープの18】(スーパーホープ)

5位:ケンホープの18(馬名:スーパーホープ

 父キズナ 母ケンホープ 母父Kendargent

厩舎:藤岡健一栗東) 馬主:青山洋一氏 生産:社台ファーム 

血統情報:5代血統表|スーパーホープ|JBISサーチ(JBIS-Search)

 

母ケンホープは21戦5勝、グロット賞(仏G3・芝1800m)勝ちが最大の勲章ですが、コロネーションS(英G1・芝8f)2着、メイトロンS(英G1・芝8f)2着2回、ロートシルト賞(仏G1・芝1600m)3着、など生涯を通じて計7回の重賞入着歴があります。この尋常ならざる安定感、タフネスさは称賛されて然るべき美点。わたくしは頑張り屋さんが大好きです。引退後社台ファームに導入されるやいなや、初仔のプールヴィル(父Le Havre)がフィリーズレビュー(G2・芝1400m)を制覇(1着同着)、繁殖牝馬として順風満帆なスタートを切りました。2番仔(父ヴィクトワールピサ)は未出走、本馬スーパーホープはケンホープの3番仔にあたります。

 

母父Kendargentは13戦2勝、G3・2着1回がキャリアハイというお世辞にも順風満帆とは言えない競走生活でしたが、故郷仏国で種牡馬入りを果たした珍しい経歴の持ち主。上級繁殖を集めるのは極めて難しい状況であるにも関わらず、いざ産駒デビューするとなかなかどうしてよく走り、仏国を中心重賞レース勝ち馬を複数輩出しています。本邦輸入種牡馬トニービンと同じくKalamounからGrey Sovereignに遡る父系で、Kalamoun3×4+CaroとしたGrey Sovereignクロスが特徴的。これを彷彿させる形態「トニービン(父父Kalamoun)+Caro」は既に日本で成功例が多数あり、ジャングルポケット産駒のトールポピーオークスーG1)、アヴェンチュラ秋華賞ーG1)姉妹、シェーンヴァルトデイリー杯2歳S-G2)、ハーツクライ産駒のスワーヴリチャード(ジャパンC-G1)、ギュスターヴクライ阪神大賞典ーG2)、スワーヴアラミス(マーチS-G3)、ルーラーシップ産駒のディアンドル(マーガットS-L)などが出ています。優れた日本適正を誇るKendargentのアシストなくしてプールヴィルの戴冠はなかった筈、同馬を一介のマイナー種牡馬と侮るなかれ。

 

キズナの近親として名高い三冠馬ナリタブライアンビワハヤヒデの両巨塔。注目すべきは後者の父シャルードSharrood)の存在。何を隠そう同馬の父は前述Caroであります。日本で成功したトニービンの良パターンを踏襲しつつ、偉大なる近親者ビワハヤヒデの父系(Grey Sovereign系)を組み込んだキズナとKendargentのマッチングには、自然と胸が熱くなる思いがします。日本で生を受けたあと米国に送られ、ピーターパンS(米G2・ダ9f)を制したキズナの半兄Sunday Break(父フォーティナイナー)。同馬の代表産駒Never on Sunday(イスパーン賞-仏G1)は母父にKendor(Kendargentの父)が入る、という事も付け加えておきます。

 

Caroを経由してGrey Sovereignが入るキズナ産駒は初年度からブレイクの兆しを見せていて、ビアンフェ(函館2歳S-G3、葵S-重賞)、キメラヴェリテ(兵庫ジュニアGP-JPN2)、ヴィンクーロ(1勝)、ハギノアレグリアス(1勝)、レガーメペスカ(1勝)の計5頭が勝ち上がりをマーク。先ごろの新馬戦で2着に好走したジュラメントも母方にCaroを持っています。キズナとCaroは切っても切り離せない関係になりつつあります。

 

ケンホープの血統内でひときわ目を引くVaguely Nobleのクロス。ここにキズナが寄り添うと、Fiji≒Vaguely Nobleの関係が構築されます。Gay Meceneを経由した事で、My BabuクロスとSir Gaylordクロス(Sir GaylordSecretariat継続)が同時に生じる点などまさに配合の妙。過去JRAで走った「父キズナ×母方Gay Mecene」のパターン馬はケヴィン(若駒S)1頭のみ。フレッシュサイアーだけにサンプル数は乏しいものの、リステッド競走勝ち馬を輩出したのは紛れもない事実。ちなみに、同パターンに該当する18年度産のキズナ牡馬はスーパーホープ1頭だけです。また、Gay Meceneを経由しないVaguely Noble持ちのキズナ産駒からもマルターズディオサ(チューリップ賞-G2)が出現、牡牝それぞれに良駒が存在することは大きな意義があると思います。

 

Kendargentの血統構成をよくよく見ると、Caroが奥まった位置に後退しており、同馬の影響力を前面に出すという意味では少々物足りない印象も、トニービン保持種牡馬の成功形態を踏襲した上でキズナに受け渡したところは感涙もの。Kendargentの母父LinamixにはAlcideを通じてAlycidonが入るところも大変気に入っています。(Acropolis=Alycidonの全兄弟クロス)ややスピードが勝っているという陣営のコメントには一抹の不安がありつつも、高い期待を持って当日のレースを見守りたいと思います。6月21日(日)、東京の新馬戦(芝1600m)をM.デムーロ騎手で予定。(最終追い切りの動きを確認。脚さばき良く豪快に伸びていました。好勝負してくれそうです。)