Sceptreのお話

Royal ChargerからTurn-toに至る過程で生じたエクスプロージョン、それはCraig an Eranを通じたSceptreとの巡り会いである。Sceptreとは英国クラシック5代競走中4競走を制した稀代の名牝だ。(ちなみに英国クラシック4勝馬はSceptreただ一頭のみ。)

 

この名牝を放置しようものなら競馬の神様が激高するだろう。しかしその心配はいらない。何故ならばTurn-to→Hail to Reasonの累代においてSt. GermansからSceptreを取り込み凝縮体制を整えたからだ。つまりHail to ReasonはSceptreの牝馬クロス持ち、となる。(正確にはその子Maid of the Mistの牝馬クロス。)

 

Turn-toやHail to Reason、そして子孫のHalo、サンデーサイレンス、クロスすれば自然と内部のSceptreを鼓舞する訳だが、これらに対して別方向に枝分かれしたSceptreを投じたいのが心情である。笠先生理論信者であれば当然の発想だ。

 

Sceptreの代表的な子孫といえばPetitionである。血統マニアであれば頭部にロマサガ的豆電球が生じたことだろう。ディープインパクトは母方にPetitionを持っている。Turn-to→Hail to Reasonのみなず、そこにPetitionをセッティングして誕生したのがディープインパクトなのだ。これに意味がない訳がない。

 

ディープと相性が良いDanzigは2代母の父がPetitionであるから、ジェンティルドンナサトノダイヤモンドミッキーアイルもSaxon Warriorも全てPetitionのクロス馬である。Sceptreの重要性を示す分かりやすい事例だ。

 

私がツイッターでしばしサトノソロモン(母イルーシヴウェーヴ)について褒めていたのは、単純にElusive Qualityが好きという事もあるが、Elusive CityがDanzigHail to Reasonクロス6×6(Turn-to6・7×7)を保持している上に自身の11代母がSceptreであるからだ。超大型馬で上手く身体が使えない印象のサトノソロモンだが、その全弟(アドマイヤカストル)はディープ的小柄体型で素軽いタイプに出たと聞く。密かに期待している。

 

Sceptre視点での考察は多岐に渡る(16号族全体に及ぶ)ので、記事としてまとめるのが困難ではあるが、また気が向けば筆を取りたいと思う。(期待してはいけない。)

キズナ:メモ2

ディープはBurghclereの累代Borealis(母Aurora→Rose Red)によって、Sweet Lavender=Rose Redとし、Turn-toクロスに彩りを加えたスタイルを確立している。ディープらしさとはHalo=Sir Ivorによって生じたTurn-toクロス的表現でもあるのだから、代々Sweet Lavender=Rose Redを巧妙に昇華していく事が「ディープ系」継続のカギとなろう。

 

さてキズナである。My BabuとAcropolisによってSweet Lavender=Rose Redをしっかりと累進継続している。My Babu,Acropolisともに各国の大レース勝ち馬の血統内にたびたび登場する名馬だ。良好な継続処置である。

 

キズナ産駒の代では当然Acropolis=Alycidonを施したいのが心情。Turn-to,Borealis,My Babu,Acropolisの合併により生じたSweet Lavender=Rose Redを、全兄弟クロスでもって一括処理できるからだ。以前にも書いたがキズナキャットクイル20歳時の産駒であって、古めかしい血脈が所狭しと並ぶ、Acropolisの場所も4代目と比較的近い。大いに効果が見込める位置だ。

 

既にディープブリランテミッキーアイルマカヒキAlycidonを取り込んでG1を勝っているし、キズナの母父Storm Catの後継ヘネシーも同馬を内包している。以上の観点からAlycidonが入る配合は確実性が高く、大物輩出が期待出来るだろう。

 

Alycidon自身は名ステイヤーとして鳴らした馬であるから、Acropolis=Alycidonによる効果が出やすいのは牝馬よりも断然「牡馬」だと推測される。前出ディープ+Alycidonの活躍馬は皆牡馬であった。

 

Alycidonの血を含むかどうか、とりわけキズナ牡馬を選定する上で重要な指標となる可能性が高い。初年度産駒の動向を見つつ、再度キズナのまとめ記事を書く予定である。(あくまで予定である←念押し)

ミリオンドリームズ:反省

クイーンCに出走したミリオンドリームズは8着に敗退。爪不安よりバシバシ鍛えられず成長は軽微なもの。相手も強く流石にここでは敷居が高かった。

 

ミリオンドリームズの母方累代に登場する「Illustrious」はAffectionに遡る一族。この血はサンデーサイレンスのSun Againによって手厚く調合され、Million GiftにはHug Again≒Bourtaiというユーモラスなニアリーが生成された。

 

Hug Again≒Bourtai(=Strange Device)といえばトゥザヴィクトリーである。自身の牝系にサンデーサイレンスを配して昇華したものだ。主にダート的粘着気質を表現する。(トゥザヴィクトリーはSun Teddy=Tedmeliaでもある。クールだ。)

 

Illustriousの2代母の父Some ChanceはMan o' War的構成(Fair PlayとRock SandとHampton)であり、Illustrious自身がSeattle Slewの母父Poker(Round Table×Nasrullah×War Admiral)と結びつく。またSome Pomp(Pompey×Polymelian)はBold Rulerを慇懃に鼓舞するのだ。

 

米ダート的要素を強調するIllustriousの存在感は大きく、ミリオンセラー2においてはA.P. Indyに至る過程でNasrullah×Princequillo血脈が皆無であることも看過できない。以上述べた点からしてミリオンドリームズはしなやかストライドで末脚を伸ばすタイプではないと見立てるのが自然である。(東京コース替わりは下馬評ほど悪くない、と書いてしまったのは猛省。)

 

初戦は紛れもなく素晴らしい内容であった。上りを要する舞台で巻き返しを期待したい。

クラージュゲリエ:メモ1

POGドラ7位指名馬クラージュゲリエが共同通信杯に出走する。父はサンデー直仔繁殖で溢れた時代に彗星の如く登場したキングカメハメハ。変則二冠馬である。自身が3/4Northern Dancer(4/4Native Dancer)の形態であるから、仔の代ではNorthern Dancerを和らげる措置が必要な種牡馬だ。

 

日本的瞬発力を調合して新たなステージに昇華したキングカメハメハ産駒はドゥラメンテ(母父サンデー)とレイデオロ(母父シンボリクリスエス)である。同産駒・牡馬における3歳春のクラシック勝ちはこれら二頭だけだ。いずれも母父の部位にNorthern Dancerの名前が無いという共通点がある。

 

クラージュゲリエの母父タニノギムレット(Roberto系)はNorthern Dancerを含んでいない種牡馬である。さらに母ジュモーは累代でサンデーが配されているから、ドゥラメンテ(母父サンデー)とレイデオロ(母父シンボリクリスエス:Roberto系)内部のRoyal Charger血脈をセットで保持する繁殖だ。実はラブリーデイレッツゴードンキも母方「サンデー+リアルシヤダイ(Roberto系)」である。(重要)

 

キングカメハメハの皆無要素(Royal Charger)を二重で押し込んだ成果である。基本的にどの血脈でもクロスしてあてがった方がその要素は伝わりやすい。 血統内に単体でポツンと存在するだけでは過度に主張しない。(歴史的名牝のように存在するだけで影響力を発揮するケースもある。)

 

キングカメハメハはBlakeneyからHornbeamを取り込み、Mill Reef→Special累代ならではの重厚な末脚表現が得意だ。望田先生のおっしゃる所謂「ナスペリ」であり、これをHornbeam≒パロクサイドとして強調したのがドゥラメンテである。フェアリードール内部にはNureyev(Special)と一緒にHornbeamと近しい「Amerigo」が登場する。ドゥラメンテ的なナスペリ弄りを彷彿させる戦略だ。

 

ビスクドールの全姉トゥザヴィクトリー(サンデー×フェアリードール)にキングカメハメハが配されて誕生したトゥザグローリートゥザワールド兄弟は硬質Hyperion的な末脚を武器としたが、クラージュゲリエにおいては幾重にも重ねたHyperionタニノギムレットHyperion:2.34%)を挟み不干渉の方向に舵を切っている。そう毎度お馴染み「緊張と緩和」である。

 

とはいえ、ジュモーにはRobertoとNureyevを通じたNashuaNasrullahがあり、キングカメハメハKingmamboMr. Prospector×Nureyev)によってこれを継続すると、かたくなにパワフルな性質を押し出す傾向がある。フェアリードール一族特有の小回りパワー型、と定義したくもなるが、京都2歳Sのレース振りを見ると、東京コース替わりでも侮れない決め手を持っている。逆にここで良い勝負をするようならば先々まで楽しみが広がるというものだ。ジュモー譲りの気性が心配だが、まともならば好勝負してくれる筈。楽しみだ。

アドマイヤマーズ:メモ1

POGドラ8位指名馬。開催場所によっては3~4位で獲得。セレクト開幕前、カタログの段階から目に留まりツイートをした。「メモ:ヴィアメディチの2016」と。

 

JRA3勝のDansil産駒を初仔で出すヴィアメディチ、凄い繁殖牝馬である。まず出発点からして違う。牝祖RossellinaがRibotの全妹なのだ。私は起点が良い繁殖が好きで、特別扱いをする。マルペンサは11代母Spinaway(英牝馬二冠:牝祖web)である。これが素晴らしいのだ。

 

父は何か、母は何か、ニアリークロスはあるか、そしてファミリーは優秀か。血統を下からも見て欲しい。配合論とは別の切り口だが、性別関係なくエネルギー効率に関わるミトコンドリアDNAは母馬からしか伝わらない。

 

ダイワメジャー×ヴィアメディチGlorious Song→Coup de Folie→サンデーサイレンスという流れが余りにも強烈。いずれもHaloが送り出した優秀な競走馬かつ特殊な遺伝力を発揮した者たち。それらが一堂に会している。壮観である。

 

アサクサデンエンShamardalやAvenir Certainは「Coup de Folie→Glorious Song」、これら以外にも欧州には同様パターンを踏襲した活躍馬が多い。ヴィルシーナヴィブロスシュヴァルグランは「Glorious Song→Coup de Folie→サンデーサイレンス」、累代とは大正義である。何故ならばそれが「回答」そのものだからだ。

 

Rossellina直後にPretty Polly(Donatello)を補充し、Alcide(Donatello)やColorado Kid(薄いが)やSind(薄いが)やNorthern Dancerで強化してノーザンテースト(Lady Angela3×2)に投じた妙策。ダイワメジャーはPretty Polly弄りによって奥行きを出す。組み込んだNorthern DancerがSadler's Wells系なのも乙である。メジャーエンブレムの母父はオペラハウスだ。

 

ダイワメジャーStorm Catはニックスだが、アドマイヤマーズにおいてはSomethingroyalを経由しないMediceanをあてがってノーザンテーストStorm Birdとし、Haloクロスと共にRed Godを設置している。Nasrullah×Princequilloに拘らないヴィアメディチだからこそ純度の高いHalo的加速を実写化できたのだ。Somethingroyalを拒否したことが功を奏したと言えよう。

 

折り合い付く馬、2000mまでは問題なく守備範囲。2400mは若干長い。ただこの馬は間違いなく特殊表現の類、想像の遥か上をゆく大仕事をやってのけるタイプだ。クラシックに向け楽しみは尽きない。

ジャスタウェイ:メモ2

産駒デビュー以前から種牡馬としてのポテンシャルは相当だと言ってきた。交通手段が発達し世界各国の血脈が容易に導入出来る現代において、主流Northern Dancerも主流Mr. ProspectorもSpecialもMiesqueもSomethingroyalもNasrullah×Princequilloの組み合わせもHyperion×Son-in-Lawも希薄(Tudor Minstrelぐらい)という空虚状態にして、世界ランク1位の末脚を繰り出した競走馬、それがジャスタウェイなのだ。革命的な出来事である。

 

更に恐ろしいのはThe Tetrarch(Mumtaz Mahal)のスピードを高純度で抽出可能なシステムを持っている事。Somethingroyal軍団とは大の仲良し。ちなみにヴェロックスの表現は偶然ではない。セルキスの累代にその秘密がある。(意味深)

 

アドマイヤジャスタ(母父エリシオ)、ヴェロックス(母父Monsun)、アウィルアウェイ(母父キングカメハメハ)、本格的な種牡馬からの底力アシストを欲する。緊張→緩和のように傍流→本流の方向性で攻めるのだ。

 

面白い関係をひとつ。アドマイヤジャスタもヴェロックスもマスターフェンサーも母方にStraight Dealを保持している。薄目だが。これは要するにMissy Suntan≒Straight Dealなのだね。Regoの母。これはSir Wiggle内部のMoslem≒Solarioの継続にも一役買っている。そもそもRoyal Chargerの母父がSolarioである。しかしハーツクライってのは代を経てもHermitの威光が強い。(Son-in-LawもRegoもGrand ParadeもHermitファミリー)

 

●Missy Suntan≒Straight Deal

www.jbis.or.jp

 

ジャスタウェイについては研究中だが、大種牡馬の道を歩むのは確定的である。

ミリオンドリームズ

POGドラ9位指名馬。こんな美しい血統表はなかなかお目に掛かれない。以上。

www.jbis.or.jp

 

まぁ茶番はほどほどにしてだね、、、怪物君Frankelの種牡馬としての名声を高めたCracksmanってのは6代母がRoyal Chargerの全妹であって、Green DesertSir Ivor)→CozzeneSir Gaylord)だから、軽快しなやか体質から新味を頂戴したという寸法。

(厳密にいえば緻密なFrankel弄りを伴ったもの)

 

Frankelはクドい。GalileoDanehillのニックス、周囲にはBuckpasserクロス+LalunのLa Troienne、Northern DancerとNatalmaとMr. ProspectorからNative Dancer。クドい。

 

Cracksmanから伝わってくるFrankelのメッセージ、それはTurn-to(Royal Charger)方面で累進してくださいよ、という懇願。ボトムランにRoyal Chargerの全妹が鎮座する、示唆的ではなかろうか。要求が強い証。

 

では世界最強のRoyal Charger血脈は?サンデーサイレンスに決まっておろう。ミリオンセラー2はサンデー+SecretariatSir Gaylord含有の4/4Turn-toなのだ。Mr. Prospector,Seattle Slew,My Babuを3/4FrizetteのFrankelで迎えるという処置も相まって、日本的しなやかさの大運動会である。サンデーとSpecialとSomethingroyalとBuckpasserというと、ロードカナロアサンデーサイレンス+La Troienneのトレンド風味を醸し出す。

 

大箱向きの末脚が発動可能。東京コース替わりは下馬評ほど悪くない。仕上がり良ければ。