いけぽぐ9th:1位指名【ライフフォーセールの18】(パタゴニア)

1位:ライフフォーセールの18 (馬名:パタゴニア

 キズナ 母ライフフォーセール 母父Not For Sale

厩舎:池添学栗東) 馬主:シルクレーシング 生産:ノーザンファーム

血統情報:5代血統表|パタゴニア|JBISサーチ(JBIS-Search)

 

母ライフフォーセールは亜10戦8勝、ブエノスアイレス州大賞(亜G1・ダ2200m)、ラプラタオークス(亜G1・ダ1600m)をはじめ重賞6勝をマークしたアルゼンチンの名牝です。引退後ノーザンファームにより日本へ導入されると、日本の雄ディープインパクトとの間に誕生したダノンファンタジー阪神JF(G1・芝1600m)を制覇、繁殖牝馬としても卓越した才能を遺憾なく発揮しています。

 

母父Not For SaleはParade Marshal~Caro~FortinoGrey Sovereignと遡る父系で、ブエノスアイレス市大賞(亜G1・芝1000m)を制したスピードタイプの競走馬。しかし、種牡馬としてはマイル~中距離のビッグレース勝ち馬を多数輩出、競走馬時代のイメージを覆して大成功を収めました。2013年には亜リーディング種牡馬に輝いています。史上初ドバイ三冠を達成したAsiatic Boy、UAE2000ギニー(G3・AW1600m)の勝ち馬Gold for Sale、ゲイムリーS(米G1・芝9f)の勝ち馬ミスセレンディピティ(本邦輸入)等、アルゼンチンを飛び出し世界で活躍する産駒も目立ちます。

 

前出Asiatic Boyは父系存続の使命を果たすべく母国で種牡馬入り、既に複数のG1勝ち馬を輩出しています。母父Not For Saleからも本馬の半姉ダノンファンタジーに加え、本邦輸入繁殖バラダセールの仔サトノフラッグ(弥生賞・G2)、ブリーダーズカップディスタフ(米G1・ダ9f)、スピンスターS(米G1・ダ9f)などを制したBlue Prize(父Pure Prize)、エストレージャス大賞スプリント(亜G1・芝1000m)2回の快速馬Elogiado(父Archipenko)など大物が続々と出現。代を経ても存在感が薄れないNot For Sale、その代表牝駒ライフフォーセールには「夢」を託すだけの価値があります。

 

Caroを経由してGrey Sovereignが入るキズナ産駒は初年度から好調で、ビアンフェ(函館2歳S-G3、葵S-重賞)、キメラヴェリテ(兵庫ジュニアGP-JPN2)、ヴィンクーロ(1勝)、ハギノアレグリアス(1勝)、レガーメペスカ(1勝)の計5頭が勝ち上っています。セカンドクロップからも大物相手の新馬戦であわやの2着と好走したジュラメントが出現、キズナとCaroの親和性の高さは折り紙付きです。

 

ライフフォーセールの注目ポイントは、その母Doubt Fireが「父Ski Champ(母Ski Goggle)×母父Ghadeer(父Lyphard)」の組み合わせであるところでしょう。これは「父Lyphard×母Ski Goggle」で誕生したスキーパラダイスムーラン・ド・ロンシャン賞-仏G1)をなぞるものです。また、Doubt Fire→Not For Sale(Grey Sovereign系)→ライフフォーセールという一連の流れは、スキーパラダイスが送り出した重賞勝ち馬エアトゥーレ(父トニービンGrey Sovereign系/阪神牝馬S-G2)の工程を彷彿させます。

 

●ライフフォーセール

Not For Sale(父Grey Sovereign系)

×Ski Champ(母Ski Goggle)×Ghadeer(父Lyphard

 

エアトゥーレ

トニービン(父Grey Sovereign系)

×スキーパラダイス(父Lyphard×母Ski Goggle)

 

異能の繁殖能力を示したエアトゥーレJRA出走10頭中10頭勝ち上がり)の構成要素をまとうライフフォーセールに、満を持してディープインパクトが配され誕生した2歳女王ダノンファンタジー。先んじて名を上げた半姉以上の成果を望むのは酷ではありますが、父がキズナ替わったことで生じる新要素には注目せねばなりません。

 

母父Not For Saleの代表産駒として紹介した前出サトノフラッグとElogiadoはいずれも「母:Not For Sale×Confidential Talk(父Damascus)」の組み合わせ、さらに前出Blue PrizeはPure Prize~Storm Catの流れを汲む父系であります。キズナの母キャットクイルは「父Storm Cat×母父Damascus」ですから、ライフフォーセールにキズナを配すると、母父Not For Saleから誕生した大物が携える血脈を端的にセッティングすることになるのです。

 

ダノンファンタジーの末脚には南米的なスピードの持続力が垣間見れますし、父がディープからキズナに替わったとなれば、本馬パタゴニアが目指すべきは積極的な前受け戦法でしょう。偉大な半姉とは違った素養を示すと考えられますが、こちらもなかなか面白い仕掛けが豊富な将来性溢れるキズナ牝馬です。

 

新馬に速い時計を課さない厩舎とはいえ、終始低負荷の調整過程には不安が募りますが、調教&パドック凡庸でも実戦で走るのがキズナ産駒の特徴、今期1位で獲得した牝馬だけに高い期待を持って当日を迎えたいと思います。6月28日(日)の新馬戦(阪神・芝1800m)にD.レーン騎手で予定。